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岡田 誠治 Okada Seiji
エイズ学研究センター・教授(医学教育部専任) 血液学・医学博士
HIV感染症における造血系の解析


岡田 誠治 Okada Seiji HIV-1感染症と造血系
HIV-1は、T細胞・マクロファージ以外の血球にも感染し、ヒトの造血・免疫系に大きな影響を及ぼすことが知られている。抗HIV-1療法(HAART)の進歩により感染者の生命予後は劇的に改善したが、HAARTによるHIV-1の完全な排除は困難であり、コントロール良好な場合でも様々な免疫異常が残り、悪性リンパ腫のような悪性腫瘍が発症することが知られている。
そこで、HIV-1と造血系の関連に重点を置いて解析し、造血・免疫系によるHIV-1感染制御の可能性について探る。

1. 高度免疫不全マウスのエイズ研究への活用
私たちは新たな高度免疫不全マウス(NOD/Scid/Jak3欠損マウス:NOJマウス)を開発した。本マウスにヒトの造血幹細胞を移植することで、マウス体内でヒトの免疫・造血系の構築が可能である(ヒト化マウス)1)。また、ヒト末梢血・臍帯血単核球を移植し更にHIV-1を接種することでHIV-1感染モデルが作成できる。これらの系を駆使して、HIV-1感染の病態解析と治療薬・ワクチン開発の基礎的研究を行っている。
一方、エイズ関連悪性リンパ腫はHIV-1感染者の生命予後を規定する最重要因子のひとつになっているが2)、その発症機序の詳細は不明である。そこで、高度免疫不全マウスを用いてエイズリンパ腫発症モデルを作成して、その病態解析と治療法の開発を行う。

1. HIV-1と造血系細胞の相互作用
HIV-1は獲得免疫ばかりでなく自然免疫系にも影響を及ぼす。特にウィルス感染防御において中心的な役割を果たすマクロファージやNK細胞に感染し、その機能を攪乱する3)4)。そこで、HIV-1と自然免疫系細胞の攪乱機序を詳細に解析し、自然免疫系活性化によるHIV-1の排除の可能性を探る。また、造血幹細胞とHIV-1の相互作用、HIV-1による造血系の抑制機構について解明する。


参考文献
1. Okada S, et al. Int J Hematol 88(12):476-482, 2008
2. Nagai H, et al. Int J Hematol 87(5):442-443, 2008
3. Hiyoshi M, et al. Blood 111(1):52-58, 2008
4. Harada H, et al. Eur J Immunol 37(8): 2148-2155, 2007


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