本拠点の概要>拠点メンバー一覧>拠点メンバーの紹介・上野 貴将
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CD8陽性の細胞傷害性T細胞(CTLと略す)は、HLAクラスI分子に提示されたHIV由来ペプチドを認識して、HIV感染細胞を直接的に殺傷したり、抗ウイルス性サイトカインを放出したりして、HIV複製を制御します(図)。HIVに対するヒト免疫応答の詳細については、最近ドージンニュースに総説を掲載しましたので、参考にしてください。 参考:2008ドージンニュース.pdf CTLはHIV感染制御に重要な役割を担っていますが、CTLはHIVを完全に制御することはできず、HIVは慢性的に感染し続けます。なぜ、HIVがヒトに慢性的に感染して、免疫不全症を引き起こすのか、未だ完全に理解できているわけではありません。 |
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解決へのきっかけとなる一つの鍵は、CTLの抗ウイルス機能が一様ではなく、CTLの抗原特異性やT細胞レセプターの種類によって異なるという現象だと考えています。また、もう一つ、HIVの変異によるCTLからの逃避も重要な鍵となると考えています。こうした、いくつかの現象がからみあった結果として、抗ウイルス機能に劣ったCTLが出現し、HIV制御が困難になるのではないかと予想しています。これらの点を明らかにするために、我々のグループは、現在、下記の2つのアプローチで研究を進めています。
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1. | Chihiro Motozono, Saeko Yanaka, Kouhei Tsumoto, Masafumi Takiguchi, Takamasa Ueno (2009) Impact of intrinsic cooperative thermodynamics of peptide-MHC complexes on antiviral acivity of HIV-specific CTL. Journal of Immunology 182, 5528-5536 |
2. | Takamasa Ueno, Chihiro Motozono, Sachi Dohki, Philip Mwimanzi, Susanne Rauch, Oliver T. Fackler, Shinichi, Oka, Masafumi Takiguchi (2008) CTL-mediated selective pressure influences dynamic evolution and pathogenic functions of HIV-1 Nef. Journal of Immunology 180, 1107-1116 |
3. | Takamasa Ueno, Yuka Idegami, Chihiro Motozono, Shinichi, Oka, Masafumi Takiguchi (2007) Altering effects of antigenic variations in HIV-1 on antiviral effectiveness of HIV-specific CTLs. Journal of Immunology 178, 5513-5523 |
4. | Takamasa Ueno, Hiroko Tomiyama, Mamoru Fujiwara, Shinichi, Oka, Masafumi Takiguchi (2004) Functionally impaired HIV-specific CD8 T cells show high affinity TCR-ligand interactions. Journal of Immunology 173, 5451-5457 |
5. | Takamasa Ueno, Mamoru Fujiwara, Hiroko Tomiyama, Masafumi Onodera, Masafumi Takiguchi (2004) Reconstitution of anti-HIV effector functions of primary human CD8 T lymphocytes by transfer of HIV-specific αβ TCR genes. European Journal of Immunology 34, 3379-3388 |