T細胞によるHIV-1の認識機構とHIV-1の逃避機構の解析とエイズワクチンの開発

滝口雅文 エイズ学研究センター・滝口プロジェクト研究室 教授
https://kumamoto-u-jrchri.jp/takiguchi

1.HIV-1特異的細胞傷害性T細胞(CTL)エピトープの同定

 Reverse immunogenetics法(図1)や、overlap peptide法を用いて、日本人やアジア人に高い頻度で見られるHLAクラスI抗原により提示されるHIV-1エピトープの同定をおこなう。

(図1)


2.強いHIV-1増殖抑制能を持ったCTLの同定

 同定したHIV-1エピトープ特異的CTLクローンを作製し、これを用いて強いHIV-1増殖抑制能を持った細胞傷害性T細胞を同定する。既に我々は、2つのHLA-B*5101拘束性のPol特異的CTLが、HIV-1感染CD4T細胞に対して強いHIV-1増殖抑制能と細胞傷害活性を有していることを明らかにしている(図2)。このようなCTLは、NefによるHLAクラスIの細胞表面での発現低下に影響されず、強いHIV-1増殖抑制能を示した。

 

(図2A)

 

(図2B)

 

3.強いHIV-1増殖抑制能を持ったCTLを用いた治療法とワクチンの開発
 強いHIV-1増殖抑制能を持った細胞傷害性T細胞を誘導する治療法を開発する。さらに、このようなCTLを誘導するワクチン開発をおこなう。