私たちの研究室では、ヒトのからだを守るヒト免疫システムの研究を進めています。
特に、ヒト細胞性免疫を担っているT細胞に着目し、ウイルス感染細胞ならびに腫瘍などの異物を感知するヒトT細胞免疫受容体とそのリガンドとの分子認識機構の解明を目指しています。こうした研究を積み重ねることで、様々な感染症ならびにがんを制御するための新たなワクチンならびに免疫療法の開発に繋げたいと努力しています。
私たちの研究室では、ウイルス感染症におけるヒト細胞傷害性T細胞の抗原認識について研究を進めています。こうした研究の過程で、近年、新型コロナウイルス感染症について、SARS-CoV-2変異株の免疫逃避機序、変異株に対するワクチン誘導型T細胞応答、日本人で強く誘導される機能的なT細胞を同定しました。今後、他のウイルス、特に難治性ウイルス感染症に対するT細胞応答の解析に展開していきます。
上記の病原体に特異的なヒト細胞傷害性T細胞は、HLA(ヒト白血球抗原)分子に提示された病原体タンパク質由来の抗原ペプチド(8-14アミノ酸から成る)を認識します。一方、近年、異常な代謝産物やタンパク質を認識することで、生体の代謝異常を感知する、新たなヒト自然免疫型T細胞(γδT細胞、MAIT細胞、NKT細胞など)が脚光を浴びています。私たちは、最近、プロバイオティクス成分に反応する自然免疫型T細胞を同定し、それらが腫瘍細胞を認識し、殺傷することを見出しました。今後はこれらの知見を感染症研究に展開し、機能的なヒト自然免疫型T細胞に備わったT細胞受容体ならびにそのリガンドを解明することで、アジュバントやワクチン、ならびに、新たな免疫療法の開発に繋げていきます。
ヒトT細胞が認識する抗原を新たなモダリティとして捉え、それらをT細胞から認識されやすいように合理的に改変することで、機能的な免疫応答を誘導する新たなT細胞誘導型ワクチンの開発を進めています。今後、英国のOxford大学との国際共同研究により、AI(Artificial intelligence: 人工知能)を活用し、機能的なT細胞を合理的にデザインする次世代のワクチンプラットフォームの構築を目指します。