臨床現場に、研究成果の迅速なフィードバックを可能に | ||
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潟永 博之 | ||
我々は、臨床現場での問題点をテーマとして研究を行っている。そのため、臨床現場から研究室への問題提起、研究室から臨床現場への迅速なフィードバックを可能にしている。 ACCには、開設以来累計3,000人のHIV感染者が受診しており、毎年の新規受診患者は200人を超える(図1)。日本のHIV感染者の1割強を診療しているため、ACCの臨床疫学データは、そのまま日本全体の臨床現場を反映していると言える。たとえば、ACCで初回治療に選択されたkey drugの変化を見てみると、2008年から満屋裕明教授によって開発されたdarunavir(DRV)が使われはじめ、現在は初回治療症例の8割近くにまで処方されていることがわかる。このようなDRV処方例の増加傾向は全国的にも認められている(図ている(図2)。また、滝口雅文教授の細胞障害性T細胞(CTL)解析にも、ACCの臨床データや臨床検体が役立っている。さらにACCでは、莫大な臨床経験に基づいて、抗HIV薬に対する耐性変異の解析や、抗HIV療法の副作用回避のための研究など、独自に診療に直結した臨床研究も行っており、研究能力を身につけたHIV専門医の育成に努めている。全国のHIV診療拠点病院に対し、最新の治療情報の提供を行い、治療困難症例のコンサルテーションや転院受け入れなども積極的に行っている。 |
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