途上国との国際共同研究アジアでの活躍を期待  
岡 慎一  
   
我々の国際共同研究のカウンターパートは、他の熊本大学の部局とは異なり途上国であり、臨床研究に主眼をおいている。HIV感染者、エイズ患者の大半は、アジアやアフリカの途上国で生活している。これらの地域では、予算や設備が十分といえるものではなく、科学に基づいた治療が必要であるのにも関わらず放置されているのが現状である。その観点からみて、これらの地域に対する日本の貢献は非常にに強く期待されている。
現在、文科省の海外拠点形成プログラムからの予算を受け、ベトナムのハノイにあるNational Hospital of Tropical Diseases(NHTD)と共同研究を行っている。ハノイで治療を受けている400人の患者コホートを形成し、治療成績を観察している。ハノイで流行しているウイルスは日本や欧米のサブタイプBとは異なるCRF01-AEであり、観察を行う中このCRF01-AEでは、特異な薬剤耐性パターンを持つことを今年度報告した(Microbes Infect 2010)。これ以外にも、厚生労働科学研にも、厚生労働科学研究費補助金から助成を受け、ベトナム・ホーチミンでの新規感染者の薬剤耐性サーベイラ耐性サーベイランスや、モンゴルでの分子疫学とそのデータに基づいた予防介入、韓国との東アジアコホート形成プログラムなどを現在動かしている。これらの国際共同研究を通じて感じることは、アジアの若者は非常に熱心であること。彼らの積極性にこちらが教えられることも少なくない。
 
      

 

←Back