1997-1998

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Tomiyama, H., Miwa, K., Shiga, H., Ikeda-Morre, Y., Oka, S., Iwamoto, A., Kaneko, Y., Takiguchi, M. (1997) Evidence of presentation of multiple HIV-1 cytotoxic T lymphocyte epitopes by HLA-B*3501 molecules that are associated with the accelerated progression of AIDS. J. Immunol. 158:5026-5034. [Abstract]

細胞傷害性T細胞(CTL)は、HIV-1感染者生体防御反応に重要な役割を果たしている。HIV-1感染後、長期に生存している患者あるいは、瀕回にHIV-1感染の機会にされされているにもかかわらずHIV-1に感染しない個体では、高いCTL活性が検出されている。これらの結果から、CTLの誘導を目的としたワクチンが考案されている。しかしながら、多くのHIV-1感染者では、感染初期に高いCTL活性が検出されるにもかかわらず、HIV-1は完全に排除されず、数年の後にCTL活性が減少し、AIDSの発症にいたることが報告されている。一方、数種の疾患において、HLAと疾患感受性との関連が示唆されている。HIV-1患者でも、日本人の約15%が保有するHLA-B35はAIDSの早期発症との関連が示唆されている。しかしながら、そのメカニズムは明らかにされてはいない。HLA-B35の提示するCTLエピトープを解析することはAIDS発症のメカニズムを明らかにするために重要と考えられる。我々は、HIV-1感染者の末梢血リンパ球をHLA-B35に結合するHIV-1由来のペプチドで刺激し、特異的CTL活性を誘導した。また、このBulk CTLからCTLクローンを樹立し、解析した結果、9つのペプチドがHLA-B35により細胞内部から提示されるエピトープであることが確認された。これらの結果から、HLA-B35によって多数のHIV-1 CTLエピトープが提示されることが明らかであった。データーベースより、9つのCTLエピトープの変異を確認した結果、合計22の変異が確認された。これらの変異エピトープのうち、19がCTLの認識に影響を与えていた。その原因を解析したところ、7つの変異エピトープはHLA-B35分子との結合が低下しており、残る12のエピトープの変異はT細胞受容体の認識に影響していることが示唆された。これらの結果から、変異エピトープに対するCTLの認識の低下にはHLA-ClassI分子と変異エピトープの親和性及び、T細胞受容体との親和性の2つの機序が関係していることが明らかにされた。

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