memory及びeffectorCD8T細胞は細胞傷害活性および種々のfactorを産生することにより、ウイルス感染細胞の除去に重要な役割を担っている。また、これらの細胞のex
vivoにおける解析は、細胞性免疫能の誘導を目的とした、ワクチンの効果判定のためにも重要である。しかしながら、memoryCD8+ T細胞の分化及び、その特性に関しては十分な検討がなされているとはいえない。
CD8(+) T 細胞は特異的抗原刺激により、memory T細胞からeffector T細胞に変化していくことが知られている。CD8(+)
T 細胞に発現しているCD45RA, CD27,CD28などの分子は、特に、CD8(+) T細胞の分化とその発現が関係していることが推察されている。サイトカイン産生能及び細胞傷害活性に重要な役割を果たすperforinの発現と上記の分子の発現を検討した報告から、CD28(+)CD45RA(-)及びCD27(+)CD45RA(-)がmemory細胞、CD27(-)CD45RA(-)びCD28(-)CD45RA(-)細胞がmemory/effector
typeに分類されることが示唆されている。しかしながら、memory細胞から、memory/effector細胞に移行する経路は完全には明らかにされていない。本研究でわれわれは、HLA-Class
I-tetramerを用いてEBV(Epstein-Barr virus)及びCMV(cytomegalovirus)特異的CD8(+) T細胞を検出し、上記の3分子に加えて、最近CD8(+)
T細胞の分化とその発現が報告されている2種のケモカインレセプター(CCR5,CCR7)の発現を解析し、CD8(+) T細胞の分化経路を検討した。これらのウイルス特異的CD8(+)CD45RA(-)
T細胞では、CD27(+)CD28(+), CD27(+)CD28(-) CD27(-)CD28(-)の表現形を持つ細胞が検出された。Total CD8(+) T
細胞では検出される、CD27(-)CD28(+)の細胞群が特異的CD8(+) T細胞では非常に少数であった。特異的CD8(+) T
細胞で検出される3つのpopulationはperforinの発現量からCD27(+)CD28(+)CD45RA(-)→CD27(+)CD28(-)CD45RA(-)→CD27(-)CD28(-)CD45RA(-)の順に分化していくことが推察された。このことはケモカインレセプターである、CCR5,CCR7ダブルポジティブの細胞がこの経路に従って減少していくことによりさらに裏付けられた。CD27(+)CD28(+)CD45RA(-)のメモリー細胞群は、さらにケモカインレセプターの発現により、CCR5(-)CCR7(+),
CCR5(+)CCR7(+), CCR5(-)CCR7(-)の3群に分類された。以上の結果により、memoryからmemory/effector CD8(+)
T細胞の分化は、下記の図の経路が考えられた。
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