2001-2003

7
Fukada, K., Sobao, Y., Tomiyama, H., Oka, S. and Takiguchi, M. (2002) Functional Expression of the Chemokine Receptor CCR5 on Virus Epitope-Specific Memory and Effector CD8+ T Cells. J. Immunol. 168:2225-2232. 

ケモカインレセプターCCR5はTh1様のヘルパーCD4(+) T細胞で発現していることから、Th1様の免疫応答に関わる他のT細胞、例えば今のところ部分的にしか特徴がわかっていない抗原特異的CD8(+) T細胞での発現や機能を調べることは重要である。そこでわれわれは、HLA class Iテトラマーで検出されるウイルス特異的CD8(+) T細胞におけるCCR5の発現と機能を解析した。末梢血リンパ球を多重染色後にフローサイトメトリー解析した結果、CCR5はメモリーCD8(+) T細胞(CD28(+)CD45RA(-))やエフェクターCD8(+) T細胞(CD28(-)CD45RA(-)およびCD28(-)CD45RA(+))に発現していないことが明らかになった。その発現は、メモリーCD8(+) T細胞に比べて2種のエフェクターCD8(+) T細胞で明らかに低かった。さらにCD8(+) T細胞でのCCR7とCCR5の発現を解析した結果、メモリーCD8(+) T細胞にはケモカインレセプターの発言方で分けられる3種のサブセット(CCR5(+)CCR7(-) CCR5(+)CCR7(+)およびCCR5(-)CCR7(+))があること、ナイーブCD8(+) T細胞はCCR5(-)CCR7(+),エフェクターCD8(+) T細胞はCCR5(+)CCR7(-)の発現型をもっていることが示された。これらの結果は、メモリーCD8(+) T細胞の分化がCCR5(-)CCR7(+)→CCR5(+)CCR7(+)→CCR5(+)CCR7(-)のサブセット順に進むことを示唆している。一方、CCR5陽性のCD8(+) T細胞は、そのリガンドであるRANTESに反応して効率よく遊走したことからCCR5は抗原特異的なエフェクターCD8(+) T細胞や文化の進んだメモリーCD8+ T細胞が炎症組織や2次リンパ組織へ遊走するのに重要な役割を果たしていることが示唆された。このCCR5の機能は、CCR7がナイーブCD8(+) T細胞やメモリーCD8(+) T細胞の2次リンパ組織への遊走に関与するホーミングレセプターとしての機能をもつのとは対照的である。

閉じる