Nef蛋白によるHLAクラスI分子の発現低下がHIV-1特異的CTLのHIV-1増殖抑制能に及ぼす影響は、エピトープ依存的である
Epitope-dependent effect of Nef-mediated HLA class I down-regulation on ability of HIV-1-specific CTLs to suppress HIV-1 replication ,
Hiroko Tomiyama, Mamoru Fujiwara, Shinichi Oka, and Masafumi Takiguchi

Nef蛋白によって引き起こされるHIV-1感染細胞表面上のHLAクラスI分子の発現低下は、HIV-1がHIV-1特異的細胞傷害性T細胞(CTL)から逃避するための機序のひとつと考えられている。本研究では、HLAクラスI分子の発現低下が、HIV-1特異的CTLのHIV-1増殖抑制能に及ぼす影響がエピトープ依存的であることを証明した。AIDS発症の遅延との関連が報告されているHLA-B*5101拘束性CTLのうち、Pol由来エピトープに特異的な2種類のHLA-B*5101拘束性CTLは、HIV-1感染CD4+T細胞を効率的に排除し、HIV-1の増殖を抑えることができた。一方、HLA-B*5101拘束性GagとRev由来エピトープに特異的なCTL及び、HLA-A*3303拘束性EnvとGag由来エピトープに特異的なCTLは、HIV-1感染CD4+T細胞を効率的に排除することができず、HIV-1の増殖も部分的に抑制するにとどまった。このようなCTLの抗ウィルス活性の違いは、HIV-1感染CD4+T細胞表面に提示される特異的抗原量の違いによって生じることが示唆された。

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