ヒト末梢CD8 T細胞は分化・成熟するにしたがってCXCR4の発現が減少する
Down-regulation of CXCR4 expression on human CD8+ T cells during peripheral differentiation
Naoki Kobayashi, Hiroshi Takata, Shumpei Yokota, and Masafumi Takiguchi
CCR7およびCCR5はCD8 T細胞の分化・成熟段階において特有の発現を示すことが報告されている。CCR7やCCR5と同じくケモカインレセプターに属するCXCR4は、造血や血管形成に関与し、また、HIV-1が細胞に侵入する際の補助受容体としても知られているが、CD8 T細胞における発現とその役割に関しては明らかになっていない部分が多い。そこで、ヒト末梢CD8 T細胞の分化・成熟段階におけるCXCR4の発現について解析したところ、CXCR4陽性細胞の頻度はナイーヴ分画でもっとも高く、エフェクター分画でもっとも低い結果であった。 またCXCR4の発現がperforinの発現と反比例しており、このことはCXCR4がナイーヴCD8T細胞で強く発現しているという事実の合致している。 また、健常人において、Epstein-Barrウイルス(EBV)特異的CD8 T細胞のほとんどがメモリーフェノタイプであったが、EBV特異的CD8T細胞はCXCR4陽性であり、一方ヒトサイトメガロウイルス特異的CD8 T細胞では約45%の細胞集団がCXCR4 陰性で、エフェクターフェノタイプを示す細胞集団の頻度とほぼ同じであった。以上のことから、CXCR4の発現は末梢CD8 T細胞が分化成熟するにしたがって低下し、未熟なCD8 T細胞において重要な役割を果たしている可能性が示唆された。CCR7およびCCR5を含め、これらのケモカインレセプターの発現によるヒトCD8 T細胞の分類はヒトCD8 T細胞の分化・成熟の研究において有用であると思われる。

戻る