HIV-1の1プロテオーム(Proteome)解析
三隅 将吾 (大学院生命科学研究部・薬学生化学分野)
 


    ● HIVライフサイクルに関与する宿主蛋白質の新規同定]

    ● ウイルス性蛋白質の新規翻訳時・後修飾の網羅的解析

従来ズブチリシンを用いることによりMicrovesicleを除去し、プロテオーム解析用のウイルス粒子を調製していたが(ズブチリシン法)、この方法は、ウイルス粒子内タンパク質を見つける際に有効な手段である一方、gp120分子を含むウイルス表面のタンパク質も切断してしまう欠点があった。そこで、申請者はCD45抗体を用いてMicrovesicleを除去後、ウイルスを非破壊的に調製する方法(CD45法)を確立できたことから、これらの方法を組合わせることにより、R5およびX4ウイルスおよび薬剤耐性ウイルスのディファレンシャルプロテオーム解析を行い、新規複製阻害剤の開発のため、HIV-1複製の未知の制御因子を検索する。
【目標と意義】
I) HIV-1複製の未知制御因子の検索
 ウイルス複製に必須の制御因子を同定する点において、ウイルスを直接解析することによって、宿主細胞の遺伝子発現レベルの解析ではわからない点を補うことができる。
II)p24(CA)N末端ホルミル化のウイルス学的意義解明
 HIV-1 protease がp17-p24部位を切断後生じるp24のN末端がどのようにホルミル化を受けるのかを解明することは、ウイルスがdisassemblyする際に必要な新たな制御因子を見いだせる可能性がある。さらに、p24に対するホルミル化酵素を同定したい。
III)HIV-1粒子中の4種のCyclophilin A isoformのウイルス学的意義解明
 何故4種のCyPA isoformsを必要とするのかを明らかにすることは、宿主細胞内でHIV-1が宿主のディフェンス機構を回避するために必要なHIV複製機構を解明できる。
 
     
     
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