エイズ発症モデルマウスの開発とHIV-1感染の造血系細胞に及ぼす影響 |
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岡田誠治 (エイズ学研究センター・岡田プロジェクト研究室) | ||
https://kumamoto-u-jrchri.jp/okada | ||
ヒトの造血系・免疫系を構築したマウスとエイズ発症モデルマウスの作製 ヒトの感染症と複雑なヒトの免役機能の解析のためには、ヒトの造血・免疫系を構築した小動物(特にマウス)は、非常に有用なツールとなりうる。その為に、ヒトの細胞が生着な可能な新たな免疫不全マウスを作製する。具体的には、NOD/Scidマウスをベースに様々な免疫不全マウスを交配しているが、NOD/ScidマウスにJak-3欠損マウスを交配したNOD/Scid/Jak-3 KOマウスは、効率よくヒトの細胞が生着することを確認している。これらのマウスにヒトの造血幹細胞を移植して、免疫系の構築を確認する。 そして、人工抗原やウィルスを用いてヒトの抗原特異的な「免疫記憶」の形成を解析する系を確立し、ワクチン療法などの新たな治療法の開発に役立てることを目的に研究を行う。 また、ヒトの造血系・免疫系を構築したマウスにHIV-1を感染させることにより、HIV-1感染・エイズ発症のモデルマウスを作製する。特に、このマウスにおけるHIV-1に対する液性免疫・細胞性免疫確立の有無を検討し、ワクチン療法の開発へ繋げる。 (ウィルス制御学滝口雅文教授との共同研究) |
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ヒトの造血系へのHIV-1の影響 HIV-1は、CD4陽性T細胞以外にもマクロファージをはじめとするヒトの血球の機能に直接・間接的に様々な影響を及ぼす。そこで、細胞株(TF-1-fms等)や臍帯血・末梢血から分離した細胞を用いて、造血幹細胞または単球からマクロファージへの分化のモデル系を確立する。この系に、HIV-1やその構成分子を導入してHIV-1のマクロファージ分化やその機能への影響を調べる。分子生物学的手法を用いてその機序を解明し、エイズの治療薬の開発に役立てる。同様に、造血幹細胞からT細胞や樹状細胞への分化系を確立し、これらの細胞分化や機能へのHIV-1の影響とその機序を解明する。 |
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→2005年に発表の論文 | ||
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