Keystone Symposia
HIV Vaccine: From Basic Research to Clinical Trials and Molecular and Cellular Determinant of HIV Pathogenesis
学会の概要
キーストンシンポジウムの朝は早く、朝8時から招待演者による公演が始まります。更に、7時頃に夕食を取ったあとも10時までポスターセッションが行われます。非常に密なスケジュールとなっていましたが、その分得るものも大きかったです。
発表演題は、基礎研究からワクチン開発まで多種多様で、発表内容を把握するだけでも一苦労でした。そのうえ、日頃目を通している論文でよく見る研究者の講演を聞いていると何だか変な感じがしました。

スケジュール
March 26
Transmission and New Infection
Molecular Interactions and Virus Replication
Live Attenuated Vaccines / Host and Viral Genetics
March 27
Immune Responses and HIV Vaccine Development / Intracellular Events (Early and Late)
gp41 as an HIV Vaccine Target
HIV Vaccine Program Updates / Restriction Factors
March 28
Structures
Pathogenesis and Immune Responses
Relevant Lessons from Other Systems / Viral Assembly, Viral Synapse and Cell Biology
March 29
Mechanisms of Viral Persistence and Immune Avoidance
CTL Function, Dysfunction and Escape
Novel Immunogens / Drugs and Viral Fitness
HIV研究の動向と学会の感想
HIV-1感染症は、抗HIV剤の登場によって死に直結する感染症ではなくなりました。しかし、副作用の問題や薬剤耐性ウイルスを誘導してしまうため長期間にわたって抗HIV剤を服用することが困難です。さらに、抗HIV剤は極めて高価であるため、発展途上国では十分に治療を行うことができないのが現状です。これらのことから、有効なワクチンの開発は望まれています。

しかしながら、いまだ有効なワクチン開発の目途は立っておらず、基礎的な研究に立ち戻る必要性が出てきています。今学会に参加して、HIV-1の感染や流行を阻止することを目的としたワクチンを開発するために、具体的に何を目指したワクチンを開発するのかを試行錯誤しながら研究しているという印象を受けました。

特に強く印象に残ったのは、2007年1月にPhilip Goulderらによって発表されたGag特異的CTL応答とウイルス量に関する論文(Nature Medicine)の影響か、Gag特異的CTLを研究ターゲットにしている発表が多かったことです。
また、抗HIV治療を行っていないにも関らず長期間ウイルス量が非常に低く維持されているエリートコントローラー(elite controller)や慢性感染に陥るにも関らずAIDSを発症しない動物実験系(SIVsm感染Sooty Mangabey [シロエリマンガベイ])を用いた研究を通して、有効なワクチン開発の手がかりを得ようとする動きが印象的でした。

 
 
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