HIV-1がHIV-1特異的CTLから逃避する機序の一つとして、アポトーシスなどの機序により、HIV-1特異的T細胞の数が減少することが考えられている。エピトープを結合させたHLAクラスI抗原を４つ結合させた分子（テトラマー）を用いて、エピトープ特異的CD8T細胞をフローサイトメトリーで検出することが可能となった。我々は、同定した多数のエピトープを用いて多数のテトラマーを作製し、これらを用いてHIV-1感染者のHIV-1特異的CD8T細胞の解析を行った。その結果、HIV-1慢性感染者では多数のHIV-1特異的CD8T細胞が存在することを明らかにした。さらに、CD28, CD45RAに対する抗体を用いた4 color解析で、HIV-1慢性感染者でのHIV-1特異的CD8T細胞は、CD28-CD45RA-のmemory/effector phenotypeを持ったものが多いことが明らかになった（AIDS. 14:2049-2051. 2000.）。さらにCD27を加えた5-color解析よって、CD27lowCD28-CD45RA- のmemory/effector分画が増加していることが明らかになった。このことは,感染細胞から絶えず抗原提示を受けていることを示唆している。現在多数のテトラマーを用いて、HIV-1慢性感染者のHIV-1特異的CD8T細胞の機能・分化異常を調べている。