AIDS Vaccine 2006 Conference
August 29-September 1, 2006,RAI Congress Centre

エイズワクチンの動向  
   
AIDS病態を引き起こすHIV-1は1981年に発見されました。それ以来、多くの研究者がさまざまなアプローチで
ワクチン開発を試みていますが、25年経過した現在でも有効なワクチンは開発されていません。
その間に、逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤の薬剤の開発からHAART療法が確立され、
HIV-1患者の生存期間は延びました。 
しかし、その薬剤は、極めて高価であるため、発展途上国の患者まで行き届かないのが現状です。 
また、薬剤耐性株の出現から結局AIDSを発症してしまい、現在も多くの患者が苦しんでいます。
これらのことから、有効なAIDSワクチンの開発は急務です。
   
今までのAIDSワクチンの開発は、 HIV-1の表面抗原gp120をターゲットとした中和抗体産生を目指したものでしたが、
HIV-1の高い変異性などから、失敗に終わっています。
そして、現在のワクチン開発は、HIV-1抗原を組み込んだベクターにより、HIV-1の増殖抑制に重要な
HIV-1特異的細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導に焦点を当てており、すでに、多くのCTL誘導型のベクターワクチン
(アデノウイルス、ワクシニアウイルスなどをベースとしたベクター)が臨床試験段階にあります。
(現在、アデノウイルスベクターに関して良い結果が出ていますが、長期的に見た場合、有効かどうかまだわかりません。)
   
このようなワクチン開発の現状から、
もう一度、基礎的な研究をやり直す必要性が出てきています。
現在、HLA-B27, -B57, -B58, -B51 HIV-1感染者のAIDS発症遅延のメカニズムと、HIV-1感染に耐性を示す集団
(HLA-A11, IgA)の解析が精力的に行われ、新たなエイズワクチンの開発にアプローチしています。

   
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