HIV, HCV, SARS-CoVに対する高親和性抗体の作製
-効率よく感染症を排除するための免疫学的基盤の解明-
阪口薫雄 (大学院生命科学研究部・免疫学分野)
 

GANPは胚中心(Germinal Center)で発現が上昇する分子として本研究室で発見され、GANPを遺伝子導入したマウスは抗原に対して非常に高い親和性抗体を産生することがわかり、新世代テクノロジーとして注目されている。このマウスを用いれば、従来に比べ親和性が非常に高いモノクローナル抗体の作製が可能となり、抗体医薬、臨床診断薬、抗体を用いた各種測定系、研究用試薬などの開発に広く応用できると期待されている。この新技術の登場により、これまで有効なワクチンの作製が不可能であったAIDS、SARS、C型肝炎といった難治性のウイルス疾患に対しても予防や、早期の回復、寛解の長期維持などが十分可能になると思われる(図1)。

その分子的機序としてGANPが修復系の制御を介してDNA二重鎖切断の頻度を調節している可能性を見出した。またGANP結合分子であるG5PR欠損マウスでは免疫応答の低下が認められた。このようにGANPを通した免疫学的基盤を明らかにしていくことにより、感染症克服の礎とする。

     
     
    →2005年に発表の論文
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