ヒトレトロウイルス学共同研究センターは、難治性ヒトレトロウイルスの克服を共通目標に、熊本大学と鹿児島大学が大学の枠を越えて2019年4月に新設されたものです。この新たな研究教育体制の中で、熊本大学キャンパスは、鹿児島大学キャンパスと連携しながら、世界から見えるヒトレトロウイルス研究教育拠点を構築すると共に、グローバルネットワークのハブとなることを目指します。
本共同研究センターの母体の一つとなった、熊本大学エイズ学研究センターは、1997年4月に日本の大学では初めてのエイズ研究に特化したセンターとして設立されました。グローバルCOEプログラム「エイズ制圧を目指した国際教育研究拠点」において、海外拠点の設置、若手研究者育成および国際共同研究を推進し、事後、最高位評価も受けてきました。また、今年で20回目を迎える、国際セミナー「熊本エイズセミナー」も主催してきました。熊本大学では、このエイズ原因ウイルスHIV-1に加え、同じヒトレロウイルスである、成人T細胞性白血病(ATL)原因ウイルスHTLV-1に関する研究も盛んになされています。そしてこれらウイルスに共通するのは、「まだ完治にまで至っていない」という事実です。HIV-1感染者はウイルスを抑えるために一生涯、服薬を強いられているなど、これら感染症が人類にとって脅威であることに何も変わりはありません。これら現状を踏まえ、熊本大学キャンパスでは特に、これら感染症に対するワクチンの開発や潜伏感染の排除に向けた基盤研究を進めています。そして、これら感染症を主な対象とした教育コース「感染症およびエイズの克服を目指した先端研究者育成コース」を通して若手人材の育成も進めています。熊本大学キャンパスでは今後、次世代Principle Investigator、特にグローバルネットワーク環境下での育成にもさらに注力します。